2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

YouTube 2 家庭医療/臨床推論

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YouTube1 社会と医療/科学性と人間性 上記についてYOUTUBEにupしました。 https://youtu.be/t10hl6dygtY

Book Review 16-1 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか/木村政彦外伝 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』、『木村政彦外伝』(増田俊也著)を読んでみた。 同じ著者の『七帝柔道記』で、寝技柔道の凄さとその練習量のすごさに圧倒された。本書…

Lecture 1&2 についての質疑応答 ○○さんへ ご質問、ありがとうございます。 Q;先生の視点から、今の医学の教育の弱点は? A;根本的問題は、大学にいる教官が、臨床医の立場を優先して、自分たちに教育者という自覚がないことです。それゆえ、教育準備に時間…

Lecture 2-4 科学性と人間性 若者へのメッセージ 大きな食卓の上にたくさんのご馳走が並んでいるが、1メートルもある長い箸が人々の右手にくくりつけられている。この状況は天国も地獄も同じである。天国の人たちは笑顔で、地獄の人たちは苛ついている。その…

Lecture 2-3 科学性と人間性 事例を紹介しよう。60歳の女性が配偶者同伴で受診した。失神発作が起こり、検査の結果、不整脈が原因と判明した。ペースメーカー挿入直後は順調であったが、失神が再発しペースメーカーに不具合があることが判明する。その後、さ…

Lecture 2-2 科学性と人間性 日本以外の医師の診療についての考察を見てみよう。60歳代男性で右手関節痛が主訴である。10年前より、タイプを打つと痛む。右手をドアに挟まれた既往があり医師で著述業でもある。4人の専門医にかかっている。一人目は手の専門…

Lecture 2-1 科学性と人間性 まず、医学雑誌について述べた。医学雑誌の症例報告は苦しんでいる人を必要とする。しかし、科学性を重視するあまり、患者さんの主観的な訴えは省略される。記載された人々の個別的な苦しみは認知されえない。神経内科医で有名な…

Lecture 1-2 社会と医療 ここからは医療の話。「記名力低下、集中力低下で神経内科を受診した38歳の男性。会計士をしていたが、仕事の能率が悪くなり解雇された。6ヶ月前から記名力が低下してきたと妻や友人は証言した。不眠で、夜間足がピクツク。15歳時…

Lecture 1-1 社会と医療 毎年1回、某大学4学年生への講義を4コマ(75分×4)行っている。2020年度はコロナウイルス蔓延の影響で、リモート参加ありの変則で行われたため、教室で受講したものは20名程度であった。 内容は、「社会と医療」、「科学性と人間性…

Book Review 15-1時代小説 真田太平記 『真田太平記 全16冊』(池波正太郎著)を再読してみた。 著者は「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の三大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博している。『定年後読みたい文庫100冊』の著…

Essay 9 患者の論理・医師の論理 事例 44歳女性。「貧血」なので貯蔵鉄の検査をしてほしいとのことで来診。若い頃から赤血球の比重不足で献血ができなかった。5年前、月1回の頻度で3ヶ月間に38度台の発熱や手指の関節痛が出現したためAクリニックを受診…

Essay 8 家庭医を目指す君達へ(私の研修時代) 産婦人科研修中,私に分娩を任され,会陰切開縫合をした妊婦さんが足の痛みを訴え続けたことがあった.精神的に問題のある方かと思って対応していたら,そのうちに足が腫れ上がってきた.指導医が再縫合して事…

Essay 7 患者中心の医療 社会のおびただしい変化が患者・医師関係に影響を与えている。医療の世界でも消費者主義が台頭し、病院でのキュアから地域でのケアへの移行、患者の自律性やインフォームド・コンセントの重視、医療職の社会的地位の低下、等々がみら…

Episode 3 研修医時代 患者の命をつなぐ往診 2年前から寝たきりとなり定期往診されていた83歳女性を前任者から引継ぎ、段々畑の間の坂道を往診鞄を下げて通った。寝たままの患者を運び出すには多大な労力が必要であったため、少々の病状変化では在宅でするし…

Episode 2 研修医時代 空の輝きの一部は家々の灯りである 私が医師6年目に赴任した人口6000人の山間の町は南北に長く,北の3村と南の1町が合併して町を形作っていた.北から天竜川が流れ町の途中から一方は浜松へ,もう一方は豊橋へと分かれていた.赴任し…

Episode 1 研修医時代 男の条件 □男の条件 この町(静岡、愛知、長野の県境に立地)で男が尊敬されるためには3つことができなければならなかった.春は鮎釣り,夏はソフトボール,冬は駅伝が盛んであった.したがって,男の条件は自ずと長距離が速いか,鮎…

Essay 6 どうして今、患者中心でなければならないのか 総合診療科で診療に当たっていると様々な患者に出会う。例えば、70歳の女性の場合はこんなふうであった。それまで何の症状もなく元気で山歩きをしていたが、たまたま健康診断を受けたところ、未破裂脳動…

Essay 5 NBM:Narrative-based Medicine 現代の生物学的医学は,科学的であることのみに主眼をおき、患者自身,あるいは患者の生きた体験や抱える信念を無視する傾向を近年ますます強めている。その反省としてEBMという、科学性のみならず患者の背景をも考慮…

Essay 4 EBM: Evidence-Based Medicine Sackettら1)は機械論を基本としたこれまでの「科学的」アプローチが臨床実践にそぐわないと批判的に総括し、これを変えるための新しい実践法EBMを提唱した。「優れた医師は、自分自身で培った専門的知識・技能ととも…

Interview 1 北の大地で勝負を挑む」 北海道立札幌医科大学に1999年「地域医療総合医学講座」ができた。 ―― 設置の目的は、「地域医療への貢献」をより積極的に果たすため、1)系統的・総合的な卒前及び卒後教育を通じて地域医療のできる医師または研究者を…

Essay 3 医師と患者の関係 最近、森林学の大学院生と話す機会があった。「木をみて、森をみない」という言葉があるが、まさに字のごとく、森全体についての総合的な知識・技能をもった者が、森林学の専門家集団の中でさえ非常に少ないということを嘆いていた…

Essay 2 EBM &NBM EBM: Evidence-Based Medicine NBM: Narrative-based Medicine 近代医学は近代合理主義科学に基づいている.その機械的世界感は,世界がいかに複雑に見えようとも,結局はひとつの巨大な機械であり,何かを認識するためには,その対象を要…

Book Review 14-1 数学 世界はeでできている 『世界はeでできている』(金 重明著)を読んでみた。 著者は数学者ではないようだ。『算学武芸帳』(朝日新聞社)、『抗蒙の丘―三別抄耽羅戦記』(新人物往来社)、『13歳の娘に語るガロアの数学』、『やじうま入試…

Essay 1-1 総合診療医に読んで欲しい書籍 総合診療医にとって必要と思われる知識を提供してくれる本を紹介したい。 【医療人類学】 ■「The Illness Narratives」Arthur Kleinman著、「病いの語り:慢性の病いをめぐる臨床人類学」(江口重幸、他 訳) 慢性の病…

Dram Review 2 愛の不時着 2022年の正月は、コロナ禍で外出もできず『愛の不時着』を見続けた。 韓国財閥の若き令嬢が事故で北朝鮮に不時着し、北朝鮮軍人との恋に落ちるという究極の恋愛ドラマである。この設定は朝鮮半島でなければ作れない。「恋愛は二人…

Book Review 13-1 戦争を扱った小説 灼熱 『灼熱』(葉真中顕著)を読んでみた。 ブラジル移民を扱った本である。移民というより棄民ととらえられる。 沖縄生まれで移民してきた男(勇)と日本移民二世(トキオ)との友情・信頼の物語である。1934年、ブラジ…

Book Review 12-1スポーツ 嫌われた監督 『嫌われた監督』(鈴木忠平著)を、中日ドラゴンズファンでも落合博光の支持者でもないが読んでみた。「週刊文春」で大反響を呼んだ傑作フィクションである。中日ドラゴンズを日本一に導いた落合博光が監督を務めた…

Movie Review 1 ペパーミント・キャンディー 時間を遡ることで見えてくるもの 日々総合診療科で診察をしていると、複雑な背景をもった患者と出会うことが多い。検査を繰り返し、様々な科を渡り歩き、それでも診断がつかない患者たちである。そのようにして総…

Drama Review 1 賢い医師生活シーズン1,2 『人生を変えた韓国ドラマ 2016-2021』、『大人もハマる!韓国ドラマ 推しの50本』を読んでみた。そこに書かれているネット独占配信のケーブル局代表作は、『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『賢い医師生活シー…