Lecture 1&2 についての質疑応答

○○さんへ

ご質問、ありがとうございます。

Q;先生の視点から、今の医学の教育の弱点は?

A;根本的問題は、大学にいる教官が、臨床医の立場を優先して、自分たちに教育者という自覚がないことです。それゆえ、教育準備に時間を割かないため、如何に教えるかという発想がなく、手元にある情報を伝達しているだけにとどまっている点と思います。

Q;どうしたら、精度の高い診断ができるのか、考えがあれば教えてください。そのために、大学生の時期、研修医の時期とで、具体的にできることって何だと思いますか?

A;仲間を募って、問題解決型の勉強をすることです。4人で順番に週1回の発表なら一人の負担は週1回で済みます。学生だけではポイントがぼやけますので、教官を引き込むことも必要です。いわゆるファシリテーターですね。総合診療科の教官がいいですね。貴大学には、○○先生がいますね。山本に推薦されたといって交渉すれば引き受けてくれるのではないでしょうか。

生坂正臣氏、山中克郎氏、徳田安春氏の本を推薦します。

Q;医者の仕事は診断することがメインだと思いますが、そこにこだわらず、生活レベルにもっと介入したり、社会にはたらきかけたりして、根本的に改善を促せる医者になりたいと思っています。まだ漠然としていますが...ただ、まずは、信頼できる診断ができるのが前提だと思っているので、このような質問をさせてもらいました。

A;どのような仕事がメインになるかは、働く場所によって比重が異なります。 医者の仕事は診断することがメインというには幻想です(最低限必要なことですが)。教科書に書かれていない問題を患者さんはたくさん持ち込んできます。それに応えようとするかどうかは医師の姿勢です。応えるためには、人間力が必要です。映画を見たり、本を読んだり、ボランティア、アルバイト等を通じて社会を知ることが必須です。患者さんの様々な問題にコミットすることは大変な労力ですが、問題が解決し患者さんの笑顔を見ると苦労もすっ飛びます。

大部分の医師は国家試験に受かると、学生のころの純真な心を失います。(何かを得ることは、何かを失うことです。)

○○さんが今の気持ちを忘れずに、生活していけばきっと素晴らしい医師になると思います。

期待しています。