Book Review 14-1 数学 世界はeでできている

 

『世界はeでできている』(金 重明著)を読んでみた。

著者は数学者ではないようだ。『算学武芸帳』(朝日新聞社)、『抗蒙の丘―三別抄耽羅戦記』(新人物往来社)、『13歳の娘に語るガロアの数学』、『やじうま入試数学』、『方程式のガロア群』など、数学分野の著書も多数ある。 

 我々医学研究者は、「e」に多変量解析(ロジスチック解析)をしたときにお世話になる。結果表に係数βが示されていたら、「e」のベータ乗がオッズ比である。βが1なら、「e」の1乗で=2.71828・・となる。βが0ならオッズ比は1,マイナスなら1以下となる。

 本書では、「e」とは何かを高利貸の理想の数として説明している。悪徳高利貸が1年を無限に分割して各瞬間に利子をとると、元利合計はどうなるかというルネサンス期の妄想から「e」は生まれた。

真打天才オイラーが「π」と「e」を結び付けた式を提示した。「e」のiπ乗+1=0。(「i」の2乗が-1)。「e」は、ネイピア数あるいはオイラー数とも呼ばれる。

「e」(=2.71828・・)について、出自から確率との関係、三角関数複素数との関係、「e」のx乗を微分しても同じなことなど幅広く解説している。どうも数学者は微分することが好きらしい。一般人には少し数式が多いかもしれないが、本書は数学に興味がある人ならコロナ蔓延で滅入った気分をリフレッシュしてくれるかもしれない。