Book Review 17-3 インテリジェンス小説 007 カジノ・ロワイヤル

『007 カジノ・ロワイヤル』(イアン・フレミング著)を読んでみた。

007の第1作である。その後、フレミングによる11冊の小説と2冊の短編小説集が出版されている。

英国の諜報員がCIAとフランス国家安全保障局との協力の下で、フランスの組合の会計係でソ連のスパイをカジノ賭博でやり込めて、破産させろという重要な役目を仰せつかる。この時代に英国諜報部員がソ連に亡命した事件も影響しているようだ。

主な場面は賭博場面とカー・チェイス、拷問(バカラ)場面、女性とのやり取りの場面の4つである。(バカラの勝負の仕方はカードを2枚引いて、9に近い数が勝ちとなる。2枚で9を超えなければもう一枚引くことができる)

映画(2006年のボンド役はダニエル・クレイグ、その他2度映画化)のような格闘場面はなく、一勝負3200万フラン(約47億円)の賭博場面は手に汗を握る。ただ、小細工を使わずに五分五分の勝負に、英国や米国が多額の資金を提供するだろうかと疑念も生じる。

女性に対しても、映画と違い、意外と真剣に応対している。映画に比べて派手なアクションは少ないが、淡々と読ませてくれる。27章、270ページであり、旅のお供によいかもしれない。