Book Review 18-4 警察小説 #三秒間の死角

『#三秒間の死角』(アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム著)を読んでみた。

刑務所に関するドキュメンタリー番組を制作中に、二人は出会い、意気投合。共著のデビュー作『制裁』でグラスニッケル賞(最優秀北欧犯罪小説賞)を受賞。本書は英国推理作家協会(CWA)賞受賞、スウェーデン最優秀犯罪小説賞受賞。

スウェーデン発、二人組の作品。スウェーデンの二人組作家といえば、マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーが有名。「ロゼアンナ」、「笑う警官」等マルティン・ベック・シリーズ10作。最近何冊か新訳が出ており、時間があれば再読したいが。

 

さて本書は、スウェーデン警察の潜入捜査員Pと殺人事件を捜査するG警部が主人公。Pは時間をかけて犯罪組織の中枢にまで潜り込み、秘密裏に政府上層部のお墨付きを得て刑務所内に麻薬密売の拠点を作る任務を負う。一方、Pの正体を知らないまま、入所前にPが関わった殺人事件をG警部が捜査する。ここでG警部の追及の手が迫るのを知った政府上層部は自分たちの保身のためにPを切り捨てる決断をする。すなわち、Pが潜入捜査員であることを刑務所内に暴露するのだ。そうなるとPは収容された囚人から容赦ない攻撃を受けて命の危険に晒される。この攻撃から逃れるためには自ら完全隔離区画へ収容されるしかない。しかし、そこも安全ではなく、Pは人質を取って立てこもる。Pは入所前にここまで事前に想定していた。命を狙われるとしたら1500メートル離れたところからの狙撃が考えられる。最終的にPはG警部の命令で狙撃され、命を落とす・・・。

 この一連の流れに疑問を抱いたG警部が真相究明に乗り出す。「三秒間の死角」の意味は? さあどうなるのか。ページを捲る手が止まらない。

 

この後、シリーズは「三分間の空隙」、「三時間の導線」、「三日間の隔絶」、「三年間の陥穽」と続く(多分、翻訳者がタイトルを「三」で統一したのであろうが)。読まなければ。