Book Review 30-4マンガ #チ-地球の運動について-

『#チ-地球の運動について-全8巻』(魚豊著)を読んでみた。宇宙や地球について解説するNHKの番組『コズミック・フロント』で紹介されていたのでKindle版で購入してみた。内容は2020年より「ビッグコミックスピリッツ」に連載。2022年度の「手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。アニメ化も決定しているそうだ。

 

本書は、15世紀欧州「P国(ポーランド)」を舞台に当時異端とみなされていた『#地動説』に命をかけて追究した人々の物語である。彼らは信念を曲げず異端審問官(「C教(キリスト教)」の権威を守るため)に拷問(爪裂き)や火あぶり末、命を奪われてゆく。神学を志す12歳の神童が、ある日危険な思想を持つ男に出会う。そして異端とされていた「地動説」の研究にのめりこむようになるだが…。次々に死体が累々と積まれ、巻は進んでゆく。最後の8巻にアルベルト・ブルゼフスキという人物が出て来る。この人物は1400年代のポーランドに実在した人物で、主に天文学、数学を教える大学教師で、その生徒の中には「天動説」を180度ひっくり返す「地動説」を発表したニコラウス・コペルニクスもいた。

始めから最後まで、親子関係や友人関係が複雑な話で、登場人物の予想もつかない大胆な行動に興味をそそられてついついページを捲ってしまう。

名言も各所に散りばめられている。「この世のすべての「知」を手に入れるための対価は何なのか。」「いまある規範を疑えないなら、それも野獣と大して変わらない。」「知への第一歩は疑問を持つこと。」「きっと迷いの中に倫理がある。」等々。

松前・札幌の移動中にタブレットを開いて閲覧し、物語を堪能することができた。