Book Review 12-5 スポーツ #駅伝

『#俺たちの箱根駅伝(上)(下)』(池井戸潤著)を読んでみた。著者は「果つる底なき」で江戸川乱歩賞、「鉄の骨」で吉川英治文学新人賞、「下町ロケット」で直木賞を受賞。銀行員を扱った『半沢直樹』シリーズがテレビ化されている。

我が家でも毎年正月2日、3日は箱根駅伝東京箱根間往復大学駅伝競走)を視聴している。どの家でも元日の実業団駅伝より人気があるようだ。本書では、強豪チームではなく、各大学からのいわば寄せ集め集団である学生連合チームに焦点を当てている。もう一つが、箱根駅伝中継を担うTVチームの葛藤を描いていることである。

 

駅伝に関しては、M学院大学のキャプテンAは、タッチの差で箱根駅伝の本選出場を逃したが、学生連合チームへの招集を受ける。そして病気で引退する監督から引き継いだ新監督Kが、なんと本選3位以内の目標を掲げる。学連連合チームはオープン参加扱いで、記録が付かず(残らず)、関係者から不要論もでている厳しい状況である。

 

中継を担当するDテレビ局も報道の仕方で方針が割れている。編成部から箱根駅伝中継を従来と異なり、人気タレントをメイン・キャスターに起用するよう命じられる。病気によるメイン・アナウンサーの降板・代役探しなど、本番に向けた出演の調整に担当者は奔走する。レース当日の天気も重要な要素となる。当日は雪、これがレース展開に思わぬアクシデントをもたらす。

 

さて、学連チームは3位以内をゲットできるのか。

中継の中で1区から10区までの走者各自についてのここに至るまでのナラティブが語られる(マラソン中継では増田明美さんが走者のナラティブを語ることが有名である)。

 

本書のレース運びと走者各自のナラティブは読者に感動を伝えられるのか。