Book Review 18-7 警察小説 #可燃物

 

『#可燃物』(米澤穂信著)を読んでみた。著者は2001年、第5回角川学園小説大賞奨励賞を『氷菓』で受賞。『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、『満願』で山本周五郎賞を受賞。


群馬県警を舞台にした警察小説(連作短編集)。ただし、K警部の卓越した捜査能力に依存して事件は解決してゆく。それゆえミステリー小説に分類した方がよいかもしれない。部下を手足に使って、最後に解決はK警部がする。


群馬県警T警察署に遭難の一報が入る。スキー場の崖の下に頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた腕に開放骨折を負った男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。犯人が使った凶器は何か。私は始めからツララと決めていたが、大外れ。「崖の下」

H山麓で右上腕に始まりばらばらに人体の一部が遺棄された事件。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか。 ある部位だけが見つからない。真相は?「命の恩」

O市の住宅街で可燃ゴミばかりを狙った連続放火事件が発生した。容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか?「可燃物」

他2作。


少しひねりが効いている。犯罪の動機を推測するのに「逆転」の発想が必要であるかもしれない。頭の固い人は是非読んでみて欲しい。