Book Review 25-1 音楽 # ページをめくるとジャズが聞こえる

 

『ページをめくるとジャズが聞こえる』(村井康司著)を読んでみた。 著者は函館出身。大学時代はジャズ・ビッグバンドでギターと編曲を担当。大学音楽表現学科講師。

久しぶりに札幌中央図書館に行ってみたら、入り口に展示されている推薦図書の中で本書を見つけた。

内容は2部に分けられる。1部・3部は作家・画家のジャズに関するエッセイや評論。村上春樹とジャズをめぐる3章。スコット・フィッツジェラルドとジャズ。演出家久世光彦の『マイ・ラスト・ソング』。イラストレータ和田誠とジャズ。作家佐藤泰志の文学とジャズ等。

 

2部は作家の作品からの引用となっている。小川隆夫平野啓一郎のジャズ×文学。評論家平岡正明後藤雅洋中山康樹、行方均、等。

 

一番の収穫は、Spotifyというアプリで462曲が聴けるQRコードが付ており、それを取り込むと、本書を読みながら曲も一緒に堪能できたことである。便利な世の中になったものだ。

 

村上春樹とジャズの関係は有名である。(最近、自分で持っているお気に入りのクラシックレコードの本も出版している。私には読んでもついていけなかった。)『風の歌を聴け』の中で「ギャル・イン・キャリコ」の入ったマイスル・ディビスの演奏に触れている。Spotifyで聴いてみるとなかなかいい。そんな風にしてたくさんの曲と出会えた。

 

音楽を扱った本にも出合える。和田誠のスタンダード100曲を選んで詳しい解説を施した本『いつか聴いた歌』をアマゾンで注文した。そのCD版は在庫切れで購入できなかったが。

函館出身の作家佐藤泰志の好きなのはフリージャズという。自らの「孤独」の狭間で途方にくれる若者を描き、41歳で自死した小説家なら頷ける気もする。オーネット・コールマンやエリック・ドルフィ、チャーリー・ミンガスもお気に入りだそうだ。

 

久しぶりに「ジャズをよむ快楽、ジャズを聴く愉悦(帯の引用)」を味わった。