Book Review 9-1

『患者はだれでも物語る』(リサ・サンダース著)を読んでみた。

これはニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された医学に関する本当にあった話を一般読者向けに集めた記事である。

 

早速、症例をみてみよう。

症例1

22歳女性。主訴は「とても我慢できない吐き気」で、唯一、熱いシャワーを浴びると軽快する。

グーグルで「熱いシャワーで改善するしつこい吐き気」入力して答えを得ている。

この病名を告げると、患者は怒って退院してしまったそうである。

同様の症例が『外来診療のUNCOMMON DISEASE3』CASE 56(生坂正臣著)として掲載されている。

 

症例2

扁桃腺炎だった44歳の女性で、いま熱があって、首が痛んで、右側の瘤が腫れている。CTで膿瘍はないが、頚静脈に塊がある。

 

症例3

しつこい発熱、関節の痛み、発疹(ある魚の肉色)、(これはある疾患の三兆候であるそうだ)。

 

症例4

様態の悪い認知症の87歳女性。精神症状の急激な悪化。朝からおなかが痛いと訴えている。高血圧、20年前に三枝CABG。血圧低下。WBC:16、000。

 

症例5

医学的に問題がない健康で(上半身が高度に発達した)活発な青年。ある日、動悸、不安発作。「息ができない」。肺塞栓と診断されたが、CTで異常なし。発作性夜間ヘモグロビン尿症を疑われた。頭を上向きにして、挙げた腕から顔をそむけるようにして、深く息を吸い込ませたら脈が消えた。

最近、将来性ある優秀な高校球児が、この疾患で手術をしたという記事があった。

 

症例6

10歳から高血圧の58歳女性。6種類の降圧剤でコントロールされない。頸動脈上に(腹部にも)血管雑音あり。レニンの値が非常に高い。MRIでは腎臓に異常なし。心エコー検査で診断がついた。(多くの医師が腕と足の血圧を比較しなかった)

 

症例7

59歳女性。ものすごい蕁麻疹に襲われ、プレドニンで軽快。その後、熱感と皮疹が出現。ライム病の季節であり、ライム病が最初に見つかったコネチカット州にすんでいるということで、ライム病と診断された。その後、膝と股が痛くて、硬くなってきた。抗菌薬の効果はいまひとつで「慢性ライム病」という診断になった。でも薬を続けても効かない。夜痛くて、朝は体が硬くて起き上がれない。骨にRA所見はなし。ライム病細菌はなし。2年たっていたが別のリウマチ専門医を受診して診断がついた。ある薬が劇的に効いた。

 

症例8

27歳男性。180㎝、110㎏。「力がどんどん抜けてゆく」胸の痛み、奇妙な息苦しさで息ができない。感覚がない。腱反射消失。救急室で何回も受診し、そこで行った心電図、胸部XPはいつも正常。9㎏の体重減少。どうしてもまっすぐに歩けない。正常と思われた血液検査で見直すと貧血があった。水銀、砒素の痕跡はなし。鎌状赤血球なし、鉄、葉酸は正常。

 

次回の投稿に正解を掲載する。みなさんはどれだけ出来たであろうか。